春になると、山に黄金色の花が咲き乱れていることがあります。緑色の木々の中にあるのでとても目立つ色合いです。これが「山吹」です。
色鉛筆の色に「やまぶきいろ」という色があり、オレンジと黄色の間の色ということは、子供の頃の記憶で、大人になって初めて「山吹」というお花の存在を知って、色に納得した覚えがあります。
ここではお花の本には載っていない、「山吹」を綺麗に見せるためのコツやいけ方・飾り方のコツなどの情報をお伝えしていきます。
山吹のいけ方・飾り方のコツ
山吹の花の特徴
垂れもの
「山吹」は、垂れる性質があり、途中まで立ち上がって、上の方から垂れ下がります。
山など上から垂れて咲いている姿が「山吹」らしい姿です。山の中の緑の中に、山吹が咲いている姿は遠くでも認識ができるくらいとても目立ちます。
垂れる方向も一方なので、いけばなの世界では「片垂れもの」といいます。壁掛けなどに垂らしていけると素敵です。
通用物
「山吹」は、枝の中が綿状になっており、草の花でもなく、木の花でもない「通用もの」という分類になります。
草ものとはチューリップのような草のお花、木ものとは桜のような木のお花のことを言います。
お花の中には、草ものにも木ものにも分けられない、どちらにも通用する「通用もの」というお花があります。通用もので有名なのは、紫陽花です。根元は木ですが、草の茎が伸び花が咲きます。紫陽花の根元の枝は、綿状になっており、切り花にしてしまうと水揚げが出来ずに枯れてしまいます。紫陽花を切る際には、短くなってしまいますが、草の茎になっている部分を切れば、少しは日持ちがします。
「山吹」も、足元の木の枝は中が綿状になっており、通用ものとなります。一重咲きはまだよいのですが、八重咲きは水揚げが良くありませんので、切り口を裂き、アルコールをつけると水揚げができます。紫陽花と同じで、お花の先(上)の方の草の茎の部分でしたら水もあがりますので、草の茎の部分を切ってあげると良いでしょう。
山吹のいけ方・飾り方のコツ
上記の通り「山吹」は、高い位置から垂らして飾ってあげたり、長いままでしたら、弧を描くように茎のラインを見せて垂らして飾ってあげるのがおすすめです。
おすすめの花器
洋風のお部屋にも和風のお部屋にも合う、壁掛けの花器です。細い山吹の茎を1~2本入れて飾るには素敵な花器だと思います。
こちらからお取り寄せができます。↓↓↓
もっと知りたい「山吹」について
それでは、山吹をいけるコツがわかったところで、もっと山吹のことを知って、上手にいけられるようになりましょう。
山吹の英名
イギリスでは、「ジャパンローズ・ジャパニーズローズ」と呼ばれているそうです。
山吹の原産
日本や中国。
山吹の科属
バラ科ヤマブキ属。
山吹の系統
落葉低木樹。冬には葉がすべて落ちます。
山吹の歴史
「山吹」は、『万葉集』(7~8世紀後半に編纂。奈良時代末期)に歌われており、早くから知られていた花となります。『万葉集』には、一重の山吹は17首詠まれていますが、八重の山吹のことは詠まれていません。この頃は、一重咲きが主流だったようです。
『源氏物語』(1008年頃。平安時代中期。紫式部作)には、第28帖「野分」の巻に八重の山吹が庭に植えられていたさまが詠まれています。この頃もまだ、八重の山吹は珍しかったようで、光源氏の養女となった「玉蔓(たまかずら)」のことを八重山吹に例えられています。
「源氏物語に登場する観賞用の花」についてはこちらをご覧ください ↓↓↓
『徒然草』(鎌倉時代末期、吉田兼好)には、藤の花ははっきりしないが、山吹の花は清らかに美しく咲いていると称賛されています。
山吹の名前の由来
山に自生し、花の色が蕗の花の色に似て金色のように美しいことから「やまぶき」と言われます。
また、しなやかな枝が風に揺れる様子から、「山振(やまわり)」の字があてられましたが、のちに「山吹」になったとも言われています。
山吹の自生場所
山の谷川沿いの湿ったところに多く自生します。
庭木としても植えられています。
山吹の草丈・樹高
庭に咲くものは1メートル程のものですが、山の中に自生しているものは2~3メートルにもなる長いお花になります。
山吹の枝
この四方八方に伸びている枝が、山吹の枝です。ここはまだ平地なので上を向いて伸びていますが、山の斜面などではある程度までは上に伸び、途中から垂れ下がっていることが多いです。
山吹の葉
葉の形もギザギザしていますが、面も立体的にギザギザしています。
花だけ見てわからなくても、葉を見れば、山吹だとわかるくらい、特徴的な葉です。
山吹のつぼみ
山吹のお花の全体の姿
草丈1メートルほどのものです。四方八方に枝が伸び、お花が咲いています。
野に自生している山吹です。ここは、草丈50センチほどでしたが、枝の長さは1メートルほどありました。野に自生しているものなので、ほとんどが太陽に向かって咲いています。
山に自生しているものも同じく、陽に当たる方に向かって、上から垂れるように咲きます。
山吹の開花時期
開花時期は、4月上旬から5月中旬。
一重咲きが終わると八重咲きが咲き始めます。
山吹の花径
一重咲きは約3~5センチ、八重咲きは約5センチほどになります。
山吹の花びら
山吹は、花びらが一重咲きと八重咲があります。
一重咲き
一重咲きは、花びらが5枚です。
八重咲き
山吹の花の色
山の中に生え、花の色が蕗に似て金色に見えることから、「やまぶき」といいます。
最近では、レモン色の爽やかな色の山吹もあります。
「白山吹」もありますが、全く違う種類のお花です。
山吹の実
一重の山吹には実がつきますが、八重の山吹には実がつきません。
山吹の季語
春。
山吹の花言葉
「気品」
「気品の高い人」
「崇高」
「貴女の魅力は美しさ」
山吹が綺麗に咲くおすすめの場所
◆源氏山 静岡県伊豆の国市
源氏山には、数々の山吹が自生しています。4月上旬から中旬が見ごろです。源氏山にはハイキングコースがあり、他にも四季折々の花を見ることができます。
◆松尾大社 京都府京都市西京区
毎年4月~5月にかけて「山吹まつり」が開催されます。境内や参道には、約3000株の山吹が咲き誇ります。
明日どんな手仕事する?
山吹は、茎も細く、結して大きくないお花なのに、春に山の中に咲いている姿は、誰よりも目立つ存在です。それは、色が目立つという意味の方が先行してしまいますが、山の中でこれだけ細い茎が2~3メートルにも伸びて、他の草木に負けずに、花を咲かせるその姿が素晴らしいのだと思います。
庭木ではわからない、山に咲く山吹の姿をご覧いただけると、山吹の凄さがわかるかと思います。
私は毎年、春に山に咲く山吹を見ると感動します。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
お花の関連記事
◆「お花の名前別まとめ(写真付き)」の記事はこちら ↓↓↓
◆「お花の季節の手仕事」についてのまとめ記事はこちら ↓↓↓
季節の手仕事の関連記事
◆「季節の手仕事カレンダー」はこちら ↓↓↓
◆「食材別の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓
◆「和菓子の季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓
◆「暦としつらえの季節の手仕事」のまとめ記事はこちら ↓↓↓
◆「おすすめの食材店と旬の食材探しで訪れたい道の駅」のまとめ記事はこちら ↓↓↓
コメント