【季節の花図鑑「躑躅(つつじ)」】もっと知りたい!つつじをいけるのは枝選びですべてが決まるくらい大切

 3月に咲く花

つつじをいけるもしくは飾るには、枝選びがとにかく大切です。枝選びですべてが決まってしまうくらいです。枝選びを目で鍛えて、上手く生けられるようになりましょう。

ここではお花の本には載っていない、つつじの扱い方やいけ方・飾り方のコツなどの情報を紹介しております。




つつじのいけ方・飾り方のコツ 

つつじの枝の選び方

つつじは、お花が咲く枝たちが、三角フラスコを逆にしたような形のまとまりをしたものが綺麗とされています。また、その三角フラスコのような大きさも大き過ぎず、小さめのまとまりのものの方が綺麗とされています。

つつじは、枝ぶりがバラバラに広がっているものよりも、まとまっている方が綺麗ということです。

つつじのいけ方・飾り方

上記、つつじの枝のまとまりを生かすため、いける際また飾る際には、長めに飾るのが綺麗とされています。つつじは、短く切らないように注意しましょう。

つつじの花は、下から咲いていきます。開花している枝やつぼみの枝があるようでしたら、開花している枝を短めに、つぼみの枝を長めにして飾るとつつじらしさを表現できます。

いけばなでのつつじのいけ方

華道家元池坊では、レンゲツツジを使うことが多いです。

つつじは、撓めが効かずバウンドしてしまいますが、ネジリ撓めができます。

生花では、こんもりとした茂みをもたせ、枝葉が段々となるように姿を整えていけます。つつじは、小枝の高さが等しいので、同じような高さの枝であっても自然の出生により、切り取ることはせず、上手に撓め直して扱います。

つつじは美しい花をつけるので、生花は一種活けが望ましいが、本来は松の根〆に用いるのが最もふさわしいとされます。

立花では、「立花十九ヶ条」に「壇躑躅(だんのつつじ)」といって、山一面に咲く京都の躑躅を、一瓶にさまざまな種類のつつじを立て交えるいけ方があります。 

つつじの水揚げ

つつじは水揚げは悪くありません。たっぷりのお水につけてあげればよくもちます。

つつじにおすすめの花器

安定感があり、たっぷりのつつじも入り、口も狭いので飾りやすい形です。洋風のスペースにも和風のスペースにも合います。こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

もっと知りたい「つつじ」について 

それでは、つつじをいけるコツがわかったところで、つつじのことをもっと好きになって、もっと上手にいけられるようになりましょう。

つつじの漢名

漢名を「躑躅」と書きますが、この字には、「あしずりする」「あがく」といった意味があり、中国でつつじを食べた羊が足摺りしてもだえ苦しんだことから、この名が付いたという説があります。

つつじの原産

数少ない日本原産のお花です。

つつじの科属

ツツジ科ツツジ属。

つつじの系統・分類

落葉低木樹。

つつじの歴史

つつじが日本の文献に最初に見られるのは『万葉集』(7~8世紀後半に編纂。奈良時代末期)です。『万葉集』の初期に詠まれている中に、「丹躑躅(ニツツジ)」や「石躑躅(イワツツジ)」があり、10首詠まれています。

『源氏物語』(1008年、紫式部作)にも、宮廷人が殿舎の前裁や中壷などに「いはつつじ(イワツツジ)」を植えて、春を楽しんだ旨が描かれています。

我が国最初の園芸書『花壇網目』(天和元年・1681年初版)には、「躑躅異名の事」として147品種が記載されています。当時は、園芸が盛んとなり、品種改良などが次々に行われ、つつじの人気があったことがわかります。ソメイヨシノを開発したことで有名な江戸の染井にいた伊藤伊兵衛は「つつじ屋」を名乗り、江戸一の植木屋となっていました。

つつじのお花の名前の由来

お花が連なって咲くことから「つづき」と呼ばれ、花が筒状になっていることから「つつ」と呼ばれ、次第に「つつじ」になったと言われています。

つつじの自生場所

全国の山野に自生しています。

つつじの葉

つつじ20240419箱根
2024年4月19日

花が咲いた後に葉が出てきます。

写真は、葉が出てくる寸前といったところでしょうか。

つつじの開花時期

開花は3月~5月。

つつじの花びら

つつじの花びらは、筒状になっています。

つつじの花の色

花の色は、朱紅色、紅紫色、白、橙など。

朱紅色20210511田貫湖
2021年5月11日 田貫湖
つつじ20240502箱根
2024年5月2日
つつじ20240415富士霊園
2024年4月15日
白20210311岩本山
2021年3月11日 岩本山

つつじの花の特徴

つつじは年を経るに従って細かい分かれ枝が増え、樹冠の姿が美しくなり、花付きも良くなります。老樹になると部分的に枯れこむところがありますが、枝がくねり、木肌も美しくなります。

樹齢は数10年と考えられていますが、実際には長く樹齢300年の木も現存します。




つつじが綺麗に咲くおすすめの場所

舘林つつじが岡公園 群馬県館林市

毎年4月上旬から5月上旬に「つつじまつり」が開催されます。園内には樹齢400年余りとされる株が2000株もあり、約50種類、1万株のつつじが植えられています。

八幡つつじ群落 栃木県那須町

毎年5月末から6月に美しい花を咲かせる「八幡つつじ群落」。23ヘクタールの土地に20万本のつつじが植えられています。遊歩道が整備されており、車いすやベビーカーも安心です。無料駐車場もあります。

山のホテル 神奈川県箱根町

つつじ20240502山のホテル箱根
2024年5月2日 山のホテル

毎年5月上旬から中旬に、ホテルの庭園にあるつつじ(さつきを含みます)が見事に咲きます。無料駐車場はありますが、庭園に入るには入場料が1000円必要です。

村民の森つつじ園 沖縄県東村

沖縄県の東村(ひがしそん)にある村民の森つつじ園では、7つの品種約5万本のつつじが咲き誇ります。見頃は3月中旬。3月下旬まで「東村つつじ祭り」を開催。

つつじの季語

季語は「春」。

つつじの花言葉

「努力」

「訓練」

つつじの品種

日本のつつじの種類は多く、野生しているものだけでも20種類以上あり、そこから生まれた園芸品種が300種類以上あります。

◆アカツツジ

→「山つつじ」をご覧ください。

◆アカヤシオ

◆アケボノ

「平戸躑躅」の一品種。花の色は濃いピンク。内側はより濃い。

◆イワツツジ 岩躑躅・石躑躅

華道家元池坊では、イワツツジは祝言の花のひとつとされています。

◆ウンゼンツツジ

◆オオムラサキツツジ 大紫躑躅

つつじの中でも花が一番大きく、普通「つつじ」と言えば、この種類を指します。赤紫色の大輪の花を咲かせることから「大紫」となったとされます。厳密には、「平戸躑躅」の一品種。

◆キシツツジ

◆キリシマツツジ 霧島躑躅

九州に自生しています。山つつじと似ているが夏葉が多い。葉先が丸く、光沢があります。分かれ枝が密。開花時期は4~5月。花の色は紅色、ピンク。

◆クルメツツジ

現在の福岡県久留米市付近で、江戸時代末期に、キリシマツツジやサタツツジを改良して誕生した園芸品種です。

◆ケラマツツジ

花の色は赤。沖縄県の東村にも自生。

◆コメツツジ

◆ゴヨウツツジ

◆サタツツジ

◆タイワンヤマツツジ

◆ツバツツジ

◆ドウダンツツジ 満天星躑躅 

ドウダンツツジは、ツツジ科ドウダンツツジ属となり、ツツジ科ツツジ属の仲間とは別になります。

「ドウダンツツジ」についてはこちら ↓↓↓

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◆ニツツジ 丹躑躅

◆ヒカゲツツジ

◆ヒラドツツジ 平戸躑躅

ラマツツジ、モチツツジ、リュウキュウツツジを交配した園芸品種。長崎県の平戸で古くから栽培されてきた品種。花の色は濃いピンクが多い。

◆ヒラドツツジ・花車

花びらが風車のように細長い。

平戸つつじの花車20240502箱根
2024年5月2日 花車

◆ベニツツジ

◆ミツバツツジ

つつじ20220407御殿場
2022年4月7日 御殿場

◆ミヤマキリシマ 深山霧島

九州の高地だけに自生する固有種。標高800mくらいの高い場所に自生します。花の色は、鮮やかな濃いピンク。

深山霧島躑躅を綺麗に見ることができる場所として、大分県日出町にある経塚山が町をあげて育てており、県の天然記念物に指定されています。ここは標高600mの地点ではありますが、手入れを万全にすることで、毎年綺麗に咲かせてくださっています。5月中旬まで楽しめます。

◆ムラサキヤオシオ

◆モチツツジ

◆モチツツジ・ハナグルマ 花車

ハナグルマ20170430
2017年4月30日

◆ヤマキリシマ

◆ヤマツツジ 山つつじ

別名「赤つつじ」とも呼ばれます。花の色は濃い赤と淡い赤があります。山野に自生する原種。

◆リュウキュウツツジ

◆レンゲツツジ

華道家元池坊でよく使うつつじ。

「つつじ」に似ている花「さつき」との違い

ツツジ全体20240415富士霊園
2024年4月15日 上がつつじで下がさつき

「つつじ」と「さつき」はよく似ていますが、同じツツジ科ツツジ属ですが、全然違うお花です。

英語では、躑躅も皐月もAzalea(アザレア)と言い、一緒のお花になってしまいます。

1番わかりやすい違いは、お花が開花している時に、葉があるかないかです。葉がないのが「つつじ」、葉があるのが「さつき」です。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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