【季節の花図鑑「椿(つばき)」①椿まとめ】もっと知りたい椿の綺麗ないけ方はシンプルに1輪だけをいける

 1月に咲く花

椿は、常緑樹であることや実が翌年の花が咲くまで枝を離れないことから、おめでたいお花とされています。しかし、花びらが散らずに花首から落ちるので、不吉なお花とも言われ、祝儀な花でありながら、飾る席を選ばなければなりません。

それでも、古くから愛されるお花に間違いはありません。




いけばな・華道家元池坊の「椿一輪」を習う

椿は、たくさんのお花を咲かせます。だからといって、一瓶にたくさんのお花が入っても、決して綺麗ではありません。

そこで、古くからある椿のいけ方として、「椿一輪」といういけ方があります。

これは、椿を究極に綺麗に魅せるいけ方です。それは、お花が1輪と葉が3枚半です。

木になっている椿からは、想像できない程の少なさです。

これこそが、「究極の美」です。

シンプルなだけに、非常に難しいいけ方になります。

もさもさとたくさんお花が入るいけ方よりは、この1輪のためだけにいける椿のいけ方の方が、凛として好きです。

「いけばな=お花がたくさん入っている」と思わないでいただきたいと思います。

「椿一輪」こそが、本当のいけばなのいけ方だと思います。

椿をいける

前記、「椿一輪」ほど難しく考えずに、お花を1輪にして飾ってみました。

椿らしいと思います。

椿をいける20180116

10年以上前のこと、椿が大好きでたくさんの種類を挿し木して育てているという方に出逢いました。その頃には、まだ椿はあまり興味はありませんでした。歳を重ねたからでしょうか。最近では、椿の花が本当に綺麗に見えるようになりました。

また、椿は咲いてから一番綺麗な時にポトンと花が落ちます。花が枯れてからではありません。「私の一番綺麗な時だけを見て」と言われているようです。これがまた、素敵でなりません。これもまた、椿が人気な理由でしょう。

普段、どの花を見ても、自然に咲いている姿の方が可愛いと思うのですが、椿だけは違います。椿は、木に花がたくさん咲いています。それよりも、たった一輪だけ切って飾るのが、儚くて綺麗で好きです。日本の美は、「引き算」だということを椿が教えてくれます。

もっと知りたい「椿」について

椿の美しさが少しわかったところで、椿について詳しく紹介していきます。

椿の英名 

Ⅽamellia 

椿の和名 

つばき ツバキ 椿 海石榴

椿の原産 

日本原産。

椿の科属  

ツバキ科ツバキ属の常緑樹。

椿の歴史 

椿は、『万葉集』(7~8世紀後半に編纂。奈良時代末期)にも記述があります。

椿の樹高 

10メートルになるものもあります。

椿の葉 

幅2~5センチ、長さ5~10センチ。

新葉20240416みねた
2024年4月16日

椿の新葉が出てきました。

椿のつぼみ

椿見本硬いつぼみ20230211
2023年2月11日

固いつぼみ。

椿見本もうすぐ開花20230315
2023年3月15日

まもなく開花するつぼみ。

椿の花アップ

椿見本おしべ見えず20230211
2023年2月11日

2月の椿は、葉の陰に隠れて咲きます。これを沈花(ちんか)といいます。

椿見本開花20230315
2023年3月15日

3月になると暖かくなるからか、葉よりも外に出て咲きます。




椿の開花時期 

12~4月がほとんど。夏に咲く椿もあります。「椿の種類」を参照。

椿の花径 

5~10センチ。

椿の花の色 

白、ピンク、紅、深紅など。

椿の花の特徴

椿の花は、寒い時期は葉の下で花が咲き、暖かくなってくると、葉の上で花が咲きます。寒さも暖かさも自分で感じて、状況を変える当意即妙なお花です。

また、花が終わると花首から花ごと落ちる。花びらが散らないので不吉とされています。

椿の果実 

椿の実は、次のシーズンの花が咲くまで落ちないため、縁起が良いとされます。

乙女椿の実20230530
乙女椿の実 2023年5月30日 
椿の実20240801桜づつみ公園
椿の実 2024年8月1日

椿の種

10月頃になると、実が割れて中から種が零れ落ちます。

椿の種は、見た目は小さな栗のような感じですが、渋くて食べられません。

種から椿を栽培したい場合は、この種が乾燥する前に、植えてしまいましょう。

逆に、この種を集めて、乾燥させ、搾油所で搾ると、椿の油ができます。椿油です。だいたい1kgの種から230gの油ができると言われています。椿油が貴重なのがわかります。

椿の栽培 

種を植えるか、挿し木で増やすこともできます。

椿の季語 

季語は「春」です 。

椿の種類

日本原産の椿は、「やぶ椿」と「雪椿」があります。

「雪椿」は、山間地に自生するつばきです。寒冷地の日本海側に多く自生します。新潟県の木に指定されています。特徴として、雄しべが房にならず、ばらばらしていることです。

たくさんある「椿の種類」についてはこちら ↓↓↓

【季節の花図鑑「椿(つばき)」②椿の種類】もっと知りたい!夏に咲く椿や不思議な見た目の椿の種類一覧
椿の種類として、赤伊勢、岩根絞り、絵日傘、大伊勢、乙女椿、孔雀椿、香華、沙羅双樹、縞千鳥、寂光、白玉椿、夏椿、匂吹雪、白芯卜半(月光)、万代、光源氏、日の丸、姫沙羅、福娘、不二の雪、フレグラントピンク、紅卜半(日光)、藪椿などの紹介

椿の名所

◆椿の里

岩手県大船渡市は、市内のいたるところにヤブツバキが自生しています。大船渡市は、ヤブツバキの北限となります。熊野神社にある「三面椿」が、樹齢1400年と言われ日本最古で日本最大のヤブツバキといわれています。

◆東京都立大島公園の椿園

東京都大島町の伊豆大島にあります。東京都立大島公園の椿園は、約7ヘクタールの広さに、園芸品種の椿が約1000種3200本と自生種のやぶつばきが約5000本生育する日本で最大の椿園です。

◆ヤブツバキの里

静岡県御殿場市東山地区は、「ヤブツバキの里」として、東山湖周辺を中心に、たくさんの種類の椿があります。秩父宮記念公園を起点にして、歩いて巡るのもよいかもしれません。

◆椿自然園

徳島県阿南市。700種3000本の椿が園内に咲き誇ります。毎年3月1日から3月20日まで椿まつりが開催されます。

◆西平椿公園(ラピュタの木)

熊本県天草市。約2万本のヤブツバキが自生しています。山の斜面が真っ赤に見えるほど、椿が咲きます。

椿餅(つばきもち)

椿と言ったら「椿餅」。椿が咲いている頃に食べることができる和菓子です。

「椿餅」とは、餡を道明寺生地で包んでおまんじゅう型にして、椿の葉を上下に飾った和菓子です。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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