もっと知りたい「蓮」の魅力
夏の太陽を浴び、天に向かって咲く蓮は、凛とした高貴な気品が感じられます。また神秘的な魅力があり、仏花として古くから愛されている花でもあります。
沼地の泥中にある地下茎から茎を伸ばし、汚れのない美しい花を咲かせることから、清浄を示す花として、賞美されてきました。
蓮は、ハス科ハス属の多年生の水生植物です。季語は夏です。
インド原産で、日本には中国を経由して渡来したと言われています。
よく現在過去未来で表現され、未来が蕾、現在が開花、過去が蓮肉(実)とされます。
蓮の姿
未来(蕾)
蓮の姿で、蕾は未来を表します。

固めの蕾です。


まもなく開花する蕾です。
開花するときには、「ぽっ」と音がします。花びらと花びらが離れる瞬間の音です。固い蕾がだんだん大きくなり、パンパンに膨らんで、破裂するような感じで開花が始まります。

開花し始めました。
現在(開花)
蓮の姿で、開花は現在を表します。
蓮の花は、根がついている状況ならば、早朝に開花し、昼過ぎにはつぼんでを3回(3日間)繰り返します。

開花初日なのではないかと思います。

2日目か3日目の開花です。

2日目か3日目の開花です。

たぶん3日目の開花でしょう。
3日間、咲いてつぼんでを繰り返す頃には、中の蓮肉(実)になる部分が大きくなり、4日目にはには花びらが落ちて、蓮肉(実)が成長するということになります。
過去(実)
蓮の姿で、蓮肉(実)は過去を表します。

緑の蓮肉(実)も、日が経つにつれ、乾燥して茶色くなります。
この蓮肉(実)の入った花托(かたく)が、蜂の巣に似ていることから、蓮は古名を「蜂巣(はちす)」といい、仏縁に深い花とされています。
ちなみに細長い茎は、食べる根の「蓮根(レンコン)」のようにいくつかの細長い穴が開いています。
蓮の葉
蓮の花は、蕾が未来を表し、開花が現在を、そして蓮肉(実)が過去を表しますが、葉も同じく時を表します。
■巻葉(まきは)
開く前の硬い葉です。葉の蕾とでもいいましょうか。未だ開かない若葉のことです。切っていける際には、硬いので、あまり水揚げポンプで水揚げしなくても大丈夫です。未来を表します。
■撞木葉(しゅもくば)
もう少しで開く葉です。鐘を叩く撞木のような形をしているので、撞木葉といいます。未来を表します。
■開葉(ひらきば)

開いた葉です。現在を表します。真上から見ると写真のように丸くなっています。
■朽ち葉(くちは)
枯れた葉ではなく、開き葉の葉先の一部分が朽ちた葉をいいます。ちぎって、枯れた雰囲気を出したりして使います。過去を表します。
■浮き葉(うきは)
お生花の時に使います。春の初めに出た小さな葉で、葉柄が細く、たち上がれずに水面に浮いた葉をいう。
それぞれ、役割に合うものの選択が必要となります。
蓮をいけるための下準備
蓮の花は、切り花にすると、1日しか保ちません。葉も水が下がって1日で枯れてしまいます。
そこで、蓮をいけるには下準備が必要です。お花を綺麗に保つためにも、しっかりと下準備をしましょう。
いける前の準備として、バケツ3個、蓮用の水揚げポンプ、乾燥を防ぐために葉に塗る馬油、延命剤、雑巾などを用意しましょう。
バケツは、①今、蓮を入れてあるバケツ、②延命剤などを入れた綺麗なお水を入れるバケツ、③下処理をしたものを入れるバケツの3個が必要です。
乾燥を防ぐために葉に塗る馬油がなければ、ハンドクリームの「ももの花」でも代用可能です。「ももの花」は、ドラッグストアで販売してます。こちらからも購入可能です。↓↓↓

お道具が整ったら、まずは、乾燥を防ぐための馬油を、開き葉、朽ち葉、浮き葉の表裏全面に塗りましょう。手で塗っていってもよいのですが、小さなスポンジなどで塗っていくと効果的です。素早い作業が重要です。
次に、花葉全てに水揚げポンプで根元から水揚げをしてあげましょう。
この時、水揚げする綺麗なお水の中に、酢酸剤やお花の延命剤「ゆめの花」、ウイスキーなどどれか1つあれば、入れてあげると日持ちがよくなります。
準備をしている間から、乾燥してきてしまいます。大きなビニール袋などで覆いながら、一つ一つ丁寧に作業していきましょう。
蓮の生花 「伝花 七種伝」
いけばなの生花において、蓮は「伝花」とされています。伝花とは、長い伝統の成果として、さまざまないけ方と約束が示されているお花のことです。蓮はその「伝花 七種伝」の1つとなっています。
約束事がたくさんありますので、説明していきます。
○蓮は、祝儀の席にはいけてはならないとされます。
○蓮は、水ものの花のため、広口の花器で置きいけにすることが適しています。
○他の花とは交わらず、一種でいけます。
○蓮は、ため(人間の手で茎を曲げたい方向に曲げること)が効かないので、花材選定が大切です。
それぞれの役枝の種類
剣山挿し位置前から
①体 開き葉
②谷 巻き葉
③開花 真上を向いているものを選ぶとよい。現在を表すものとみて、体の葉のすぐ上に入るように陰方下段に低く用います。茎が見えないように体の葉にぴったりの長さにする。
④蕾 未来を表すものとみて、真の葉に添うように、上段から中段までの間に用いる。
⑤真前 撞木葉
⑥真 開き葉
⑦真後 撞木葉
⑧副あしらい 巻き葉
⑨副 開き葉
⑩副あしらい 蓮肉 過去とみて、副下か副内のあしらいに用いる。自然に横に出るように入れる。若い蓮肉(緑のもの)は副内に、古い蓮肉(茶色くなったもの)は副下に用いる。
⑪体奥 朽ち葉
注)浮き葉は、陰方前方に浮かせ、体の開葉とともに2つで体の働きをさせます。したがって、体の開葉をやや控えめに用います。
蓮の立花 「立花十九ケ条 蓮一色」

いけばなの立花において、『立花十九ヶ条』とは、立花の表現方法で、中でも蓮は、「七一色」の1つになります。
「蓮一色」では、一瓶の中で時間の変化を表現します。
○蓮の立花をいけるのに、必要な道具です。前もって準備しておきましょう。
馬油、水揚げポンプ、延命剤は、前途説明させていただきましたので、それ以外に必要な道具です。
長ワイヤー(90cm) 長い所 16番 2本入れてもよい その他は18番でよい
受筒大2つ 真用(真が入る)と副用(副と見越しが入る) 長さが足りれば必要なし。真用が前で副用が真後ろで1cm下げる。受筒に18番で支えを付け、蓮の茎を巻き付けて使います。
○花器は広口で水はたっぷり入れておく。
「蓮一色」の各役枝とその特徴
◆真
開き葉 良い葉 大きい葉 葉のツメが前にくるようにする 真の長さ約90センチ 長さがあれば、うぶ立てがよい
◆真の前あしらい
巻き葉 正真、副より高い
◆副
撞木葉
◆副下
蓮肉(実) 奥に向けて下を向かせる
◆副内
巻き葉
◆正真
蕾 真の半分より高い
◆見越
巻き葉 小さめの葉
◆請
開き葉 斜め後ろに入る 高さは真の2分の1
◆請下
巻き葉 請の前方向に入る
◆請内
蕾 正真の左前 正真より気持ち短く
◆流枝
撞木葉
◆流枝のあしらい
巻き葉
◆控
開き葉 一番小さい開き葉
◆胴
開花(なければ一番大きな蕾)と撞木葉 1番大きい撞木葉 正真の前に、正真より3センチ短く、後向きで葉が斜めになるように入れる 開花の前から上に向かって、茎を曲げて見せる
◆前置
開き葉 2番目に小さい開き葉
◆陰留
巻葉
◆陽留
河骨(こうほね) 葉は開き葉を2~3枚、巻き葉を1枚入れる 花は1つは見せて、1つは前置の開き葉の下に隠すように。
◆後囲
開き葉もしくは朽ち葉 大きい葉 汚い葉 ちぎってしまってもよい
◆裏花
○巻き葉があまれば、胴脇や請のあしらいに入れる
蓮を見ることができる場所
都道府県を北から順に紹介しています。
鏡沼
北海道北見市小泉。日本最北の蓮沼。2000本の蓮が咲きます。見頃は8月いっぱい。
信濃国分寺
長野県上田市。2300平方メートルの水田にピンクや白の蓮が咲きます。見頃は6月下旬から8月上旬。
星名池(ほしないけ)
愛知県大府市。約200本の蓮が咲き誇ります。見頃は7月。無料駐車場約50台。トイレ有り。車椅子でも見て回ることができます。
草津市立水生植物公園みずの森
滋賀県草津市。園内には、蓮や睡蓮など約100種類の水生植物が咲き誇ります。見頃は7月。朝7時から開園しています。「ハスの群生地」としては、国内最大級。入場料大人300円。
東本願寺 門外南側のお堀
京都府京都市。よく訪れる京都ですが、蓮に合わせて訪れているわけではないので、なかなかぴったりと開花時期に行けることが少ないです。ただ、ここは、満開の時期を何回か見ている場所です。蓮田などではありませんが、お堀にたくさん咲きます。朝の散歩にぴったりです。7月中旬以降が見頃です。
蓮の花を見に行く際の注意
①蓮の花は、朝開花して昼過ぎには閉じてしまいます。見に行くのは、朝から午前中が良いでしょう。
②蓮の花は、水辺に咲いています。蚊など虫が多いので、虫よけスプレーは忘れずにお持ちください。
明日はどんな手仕事する?

蓮というと、ベトナムに行った時のことを思い出します。
流石に暑い国だけあって、蓮の花がいたるところに飾ってありました。印象に残っているのが、蓮の蕾の外側の花びらを、1枚につき斜めに2回折り内側に入れ込みます。これを4枚くらい折り込むと、違うお花のように見えるのです。どこのお店さんにも、このようにして水に浮かべて飾ってあったので、作り方を教えてもらったら、「やってみたら…」とやらせてもらえました。とても簡単で、しかも可愛い。蓮が豊富にあるベトナムならではの、蓮の飾り方でした。
残念ながら、ベトナムでの蓮の写真が古すぎて、この写真は、タイに行った時の蓮の写真です。タイでも同じように飾ってありました。
また、ベトナムでは、蓮のお茶「ロータスティー」もいただきました。なんと暑い国なのに、熱いお茶にお砂糖が入っていてとても甘く、感想としては、あらら…という感じでしたが、お砂糖が入っていなければ、いける気がします。考えてみれば、子供の頃、麦茶にお砂糖を入れていた気がします。そんな感じです。今、麦茶にお砂糖なんて入っていたら、甘くて飲めないですものね。
ロータスティー、日本でも手に入ります。こちらからお取り寄せができます。 ↓↓↓


ベトナムで買ってきた蓮型のカップ&ソーサーです。6客買って、リュックに背負って持って帰ってきました。ロータスティーを飲むためのものなので、デミタスカップよりも少し大きいくらいの大きさです。普通のティーカップよりは、小さいです。

なんか、ベトナムの懐かしい思い出を書いていたら、また行きたくなってきてしまいました。ホテルでは、部屋のランクを間違えられて、夜中の2時頃にルームチェンジさせられて、アップグレードで王様のお部屋のようなコロニアル調のスイートルームに泊まらせていただいたり、ホテルの隣の建物の壁一面に絵が描かれたのかと思うような大量のヤモリがいたり…。ベトナムは、楽しかったです。また、行きたいです。絶対におすすめです。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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