【季節の指標 節供「元旦の膳」】「お正月⑦、餅③雑煮」ユネスコの無形文化遺産に登録された和食の代表




お雑煮が和食の代表と言われるわけ

2024年、和食が「ユネスコの無形文化遺産」に登録された決め手となったのが、『1月1日に、日本全国でその地域のそれぞれの家庭の味の「お雑煮」というものが食べられていること』そのことが評価されたと言います。

日本全国各地で、内容は違えど、同じ形式のものを、同じ日に国民が食べることは世界でも稀なことで、そのことをユネスコが文化遺産だと認めたようです。

「お雑煮」は、和食の中でも、誇りをもって紹介できる料理の1品となっています。

お雑煮とは

お雑煮とは、1月1日に各家庭で祭られている年神様に供えた神饌(供えてある飲食物・鏡餅)をみんなで食べる料理をいいます。先祖代々伝えられた家庭の味です。

年神様に供えたお餅や、地域の食材を煮て作ることから、「雑煮」と言います。

お雑煮を食べるようになったのは、元禄時代(1688年から1704年頃)以降からと言われています。

お雑煮の種類について

お雑煮の種類については、無限と言えるのではないでしょうか。中でも、主な材料などの種類を分類してみました。

仕立て・汁

◆すまし汁

◆味噌汁

◆魚介汁

お餅の形

◆丸餅

西日本では、丸餅の傾向があります。これは、宮中の文化の影響と言われています。宮中では、餅を丸めて作っていたようです。また、「物事を丸める」「円満」「角が立たないように」などの意味も含まれるようです。

◆角餅

東日本では、のした餅を切って作る角餅の傾向があります。武家では、多くの親族や家来たちに餅を配るため、丸める手間をかけないよう切り分けるようになったとも言われています。江戸時代の庶民は、賃餅搗屋が各長屋を回って一臼ずつ餅をついてまわり、各家庭ではのした餅を四角に切ったといわれています。

お餅の状態

◆生のまま

◆茹でたもの

◆焼いたもの

お餅の種類

◆白餅

◆餡入り餅

各地で食べられている雑煮の種類

都道府県の北からの紹介となります。

「秋田雑煮」 秋田県

◆食べられている地域 秋田県全域

◆入れる具材 地鶏、ぜんまい、根曲がり竹など。

「つゆもち」 福島県会津地方、「おつゆもち」「つゆっこもち」秋田県

「つゆもち、おつゆもち、つゆっこもち」についてはこちら ↓↓↓

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「豆腐雑煮」 茨城県常陸太田市

◆食べられている地域 茨城県常陸太田市

◆仕立て・汁 昆布出汁、白味噌

◆餅の形 角餅

◆餅の状態 軽く焼く

◆入れる具材 木綿豆腐。

◆その他の特徴 砂糖で味付けされています。

「はば雑煮」 千葉県大網白里市、横芝光町

◆食べられている地域 千葉県大網白里市、横芝光町、山武地域、九十九里浜沿いなど

◆仕立て・汁 鰹だし 醤油

◆餅の形 角餅

◆餅の状態 焼いて入れます

◆入れる具材 はばのり、青のり、鰹節など

はばのりとは、外洋の岩の潮間帯(ちょうかんたい)に生え、冬から春にかけて繁茂し、晩春には枯死消滅する海藻。昔は北風に荒れる冬の海で岩に貼りついたはばのりをつみ取り、海水で洗って細かく切ってすのこに広げて天日干しをするのが、女性の仕事だったそうです。

◆言われ 元旦に幅(はば)を食べれば、一年中福を利かせてくれると言われています。

東京で食べられている雑煮

◆食べられている地域 東京全域

◆仕立て・汁 すまし汁

◆餅の形 角餅

◆餅の状態 焼いて入れます

◆入れる具材

「名をとる」といって、小松菜と鶏肉を入れ、その上に浅草のりをのせます。

「親子雑煮」 新潟県

◆食べられている地域 新潟県

◆入れる具材 塩引き鮭、いくらなど。

「黒砂糖雑煮」 福井県若狭地域

◆食べられている地域 福井県若狭地域

◆仕立て・汁 米味噌、昆布出汁、かつおだし。

◆餅の形 丸餅。

◆餅の状態 茹でたものを入れます。

◆その他の特徴 上に黒砂糖を掛けます。

「名古屋雑煮」 愛知県

◆食べられている地域 愛知県

◆仕立て・汁 鰹節

◆入れる具材 餅菜。

「きな粉雑煮」 奈良県

◆食べられている地域 奈良県、京都府木津川市、三重県伊賀地域など。

◆仕立て・汁 白味噌

◆餅の形 丸餅

◆餅の状態 白味噌で柔らかくなるまで煮ます。

◆入れる具材 祝大根、金時人参、豆腐、里芋の頭など

◆その他の特徴

柔らかくなったお餅を、別皿に用意した砂糖入りのきな粉につけて食べます。

◆歴史 奈良時代から食べられています。




京都で食べられている雑煮

◆食べられている地域 京都

◆仕立て・汁 白味噌

◆餅の形 丸餅

◆餅の状態 茹でる

◆入れる具材

「人の頭になれるように」と里芋の頭芋(八つ頭)や、「地にしっかり根をはるように」と大根を入れます。

「ブリ雑煮」 岡山県

◆食べられている地域 岡山県

◆仕立て・汁 魚介出汁

◆入れる具材

ブリは塩でもみ、臭みを抜いてから入れます。ブリの照り焼きをそのまま入れるところもあるようです。

「あんもち雑煮」 香川県

◆食べられている地域 香川県

◆仕立て・汁 白味噌。

◆餅の形 丸餅。

◆餅の種類 餡入り餅

◆入れる具材 大根、金時人参、里芋、あおさなど

◆その他の特徴 いりこだしをかける

「アン雑煮うどん」 香川県

◆食べられている地域 香川県観音寺市。

◆仕立て・汁 白味噌。

◆餅の形 丸餅

◆餅の状態 焼く

◆餅の種類 餡入り餅

◆入れる具材 にんじん、大根など。

◆その他の特徴 うどんに餡入りの焼き餅がのっています。

博多雑煮 福岡県

◆食べられている地域 福岡県

◆仕立て・汁 すまし汁、あご煮干し削り、昆布など

◆餅の形 丸餅

◆餅の状態 茹で

◆入れる具材 ブリ、にんじん、大根、里芋、椎茸、かつお菜、かまぼこなど

◆特徴 かつお菜からかつおの出汁のような味が出るのでかつお菜を必ず入れます。

お雑煮のおすすめの逸品

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明日はどんな手仕事する?

うちのお雑煮は、味噌仕立て、角餅を溶かし入れ、具材には里芋、大根をいちょう切りにして入れ、鰹節、いぶし粉、味付け海苔をかけていただきます。お餅がドロドロに溶けた状態のものです。上記、種類でも見たこともありませんし、ルーツも不明です。母方の実家のお雑煮は全く違うもので、父方の実家のお雑煮が味噌仕立てだったようなのですが、お餅がドロドロになったのは、単に父が好きだったからのようです。地域なども関係のない、独自のお雑煮です。

上記のような種類のほかにも、このような各家庭ならではのお雑煮が、他にも存在するのだと思います。出逢う人一人一人に聞いていたら、とても面白いかもしれませんね。

私も、たくさんの方に聞きつつ、この記事を更新していきたいかと思います。

それでは、明日が素敵な1日になりますように。

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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