松納めとは
楽しかったお正月も終わり、玄関に飾っていた門松やお正月飾りを下げ、どんど焼きに持っていくか、神社にお納めしましょう。これで、約1ヶ月弱のお正月期間が終わりとなります。これが「松納め」になります。
松納めは、地域によって日にちが異なり、関東では1月6日、関西では1月14日とされます。
ちなみに、お正月の準備から終わりまでの期間のことを「松の内」といいます。松の内は、12月13日の「正月事始め」から、関東では1月6日、関西では1月14日までとされます。
人日の節句
1月7日は、五節句のひとつ「人日(じんじつ)の節句」です。「7日正月」ともいわれ、中国の古い習俗に由来します。
人日とは、古く中国より伝わり、元旦から6日までは、雉(きじ)、狗(いぬ)、猪(いのしし)、羊、牛、馬の順に獣畜を当てて占いを立て、7日目に「人」の占いをしていたため、人を尊重する日と定められ、「人勝節(じんしょうせつ)」と呼びました。
日本では、元旦から6日までが神のための日とされ、7日から人の日が始まると考えられていました。鎌倉時代を起源とし、江戸時代に正月7日に定められました。
「人日の節句」の行事食といえば、「七草粥」です。
「七草粥」は、強い生命力があるとされる春の野に咲く7種類の若菜を摘む「若菜摘み」をして、新春に若菜を食べて、1年の無病息災や招福、長寿を祈願する風習とされています。正月料理で疲れた胃を休め、平常の食生活に戻す区切りとして、野菜の乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補う役割とされています。
春の七草とは
平安時代の頃は「七草粥」ではなく、「七種粥」として、米、粟、黍(きび)、稗(ひえ)、篁子(みの)、胡麻、小豆の7種類の穀物を炊いたおかゆがありました。これに由来し、江戸時代に、徳川家の畑に生えていた七つの草が「七草」になったとされています。
ちなみに、この「七種粥」の小豆を使った「小豆粥」は、小正月に食べるようになったようです。
ところで、春の七草、言えますか?
七草が言えても、どんな植物かご存じですか?
なかなか、お目にかかることがない植物ですよね。
地域によっては、これら七草がこの時期に育たずに、違う草を入れるところもあるようです。
では、それぞれがどんな植物なのか、どこで手に入るのか、探っていきましょう。
春の七草① 芹(せり)

セリ科セリ属の多年草。日本原産の伝統野菜。田の畦道(あぜみち)や川原の湿地に自生する野草です。精を養い血脈を調え、神経痛、痛風、リウマチなどに効果があります。独特の爽やかな香りが身体を温めるのに役立ちます。競り合うように生えていることから「競り勝つ」とも言われ、縁起の良い草になります。白い花が咲きます。
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春の七草② 薺(なずな)

アブラナ科ナズナ属の2年草。別名「ペンペン草」。種実の形が三味線のバチに似ていて、振ると音がするのでこの名が付きました。煎薬として、利尿、解熱、洗顔料に用いられます。消化をよくするとされるジアスターゼを含みます。白い花が咲きます。季語は春です。
春の七草③ 御形(ごぎょう)

キク科ハハコグサ属の1年草。別名「母子草(ははこぐさ)」ともいい、子が母にまつわりつく様子にたとえました。昔は、草餅には母子草が使われていました。今では草餅はよもぎを使います。乾燥したものは、せきやタンに効き、のどの痛みを和らげる効果があります。お花が咲いた姿は、仏様のようだと表現します。春には黄色のお花が咲きます。葉は、シルバーリーフのように、白い毛がありふさふさとして柔らかいです。ふんわりと爽やかな甘い香りがします。アクが強く、触っていると手が真っ黒になります。
春の七草④ 繁縷(はこべら)

白い花が印象的なナデシコ科の2年草。別名「はこべ」「ひよこぐさ」「すずめぐさ」「こはこべ」「あさしらげ」などとも言います。
茎が長く、葉が対になってへらのようなので、この名があります。摘んでも摘んでもどんどん生えてくるので、繁栄が蔓延る(はびこる)と言われています。
茎がシャキシャキしていて、水菜のようなので、生でサラダなどで食べられます。和え物やみそ汁の具などにもなります。天日乾燥したものは、産後浄血、催乳に効果があります。歯茎を保つのにも役に立ちます。
春の七草⑤ 仏の座(ほとけのざ)

正式名「小鬼田平子(コオニタビラコ)」。「田平子(たびらこ)」とも呼びます。キク科の2年草。熱を下げたり、痛みを抑えたりします。3月頃から、5ミリくらいの黄色の花が円座のように咲くので、「仏の座(ほとけのざ)」といいます。
5月頃になると、草丈「50センチにもなる「鬼田平子(おにたびらこ)」という、「小鬼田平子(こおにたびらこ)」よりも大きなサイズの別のお花があります。「小(こ)」がなくなり、大きくなったお花です。
また、「仏の座(ほとけのざ)」という名前の別のお花もあります。

こちらは、シソ科の植物になります。丈は約20センチ。茎に対して2枚の葉が輪のようにつく形から「仏の座」という名になったそうです。別名「三階草(さんがいぐさ)」。確かに、葉が三段(三階)あります。
春の七草の「仏の座」は、キク科の黄色いお花が咲く植物です。お間違え無く。
春の七草⑥ 菘・鈴菜(すずな)

かぶの別名。葉にはカロチンやビタミンを多く含み、消化促進の効果もあります。胸やけや胃の痛みなどを抑えます、神を呼ぶ鈴とされています。

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春の七草⑦ 蘿蔔・清白(すずしろ)

大根の別名。葉には、ビタミンや鉄分などが豊富に含まれます。根の汁は、打撲や火傷に効きます。汚れのない純白を意味します。

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【季節の手仕事】七草粥の作り方
昔は、七草粥を作るにあたり、7種類の道具を用意しました。「七」に拘ったようです。
火鉢、擂粉木(すりこぎ)、おろし金、しゃもじ、薪、火吹き竹、菜箸です。火鉢で作ったら、美味しいのでしょうね。
それでは、七草粥の作り方です。古くは、7種類の材料を7回ずつたたいて作ったとされます。
作り方というほどではありませんが、七草粥の作り方です。
①七草を綺麗に洗い、さっと熱湯にくぐらせ、細かく切ります。すずな、すずしろは、おろせるようでしたら、おろしましょう。無理そうならば、細かく刻めば大丈夫です。
②お米は、綺麗に洗い、ザルに上げ、30分くらい水切りしておきます。鍋にお米1カップに対して5カップの水を入れて火にかけます。
③沸騰したところで弱火にし、30分くらいゆっくりと煮ます。途中、かき混ぜると粘りがでてしまうので、注意します。
④お米が柔らかくなったら、塩小さじ1で味を調え、七草を加えてしんなりするまで煮ます。

美味しく出来上がりました。
七草の農家のお母さんは、「お粥の上に、刻んだ七草を生のままのせるだけ」とおっしゃっていました。湯通しも煮込みもしないということです。「生の方が美味しいもの」とおっしゃっていました。流石です。
七草粥は、野菜の香りが優しくて、穏やかな気分になります。
春の七草はどこで手に入る?
実は、この7種類の植物が、三島では簡単に手に入ります。箱根西麓三島野菜とともに、畑で育てられております。育てていなくても、畑に行けば、あるものたちばかりです。だからといって、みなさまを畑にご案内するわけにはいきませんので、とても便利なセットになっているものを紹介します。

箱根西麓三島野菜を作っている三島では、年が明けると、生の七草が入ったセットになっているものを販売します。
これは、JAさんの直売所をはじめ、ファーマーズマーケットや道の駅、村の駅などでも販売されます。また、三島周辺のスーパーなら、ほとんどのスーパーで毎年販売されます。
今では、とても便利になって、七草を乾燥したものやフリーズドライになったものが、年末から販売されていますが、乾燥していると、どれがどの草かは、わかりません。
やはり生の方が断然美味しいです。
箱根西麓三島野菜とは


「箱根西麓三島野菜」とは、箱根の西側斜面、つまり三島で採れた野菜のことを言います。
「箱根西麓三島野菜」の種類は、三島甘藷、キャベツ、里芋、三島セルリー、三島大根、たけのこ、玉ねぎ、三島人参、三島の葉ねぎ、白菜、三島馬鈴薯、三島ブロッコリー、レタスなど、そして「春の七草セット」になります。
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七草粥のおすすめの逸品
「七草粥」といったら、土鍋が必要ですが、土鍋ではない万能鍋があります。色も選べます。こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

明日はどんな手仕事する?
おせち料理をたくさん食べた胃を休めるためにいただく「七草粥」ではありますが、この優しい香りに、胃を休めるどころか、もっと働いてもらわないといけなくなる、そんな美味しい七草粥です。
生の七草を手に入れることは、昔は普通だったのかもしれませんが、今では逆に贅沢なことです。それが簡単に手に入ることに、感謝です。
また、なければないで七草が揃わなくてもよいと思います。手に入りやすい、大根と大根の葉やかぶとかぶの葉だけで作るのもありだと思います。難しく考えずにいきましょう。
今は、セットになったものを買ってきて楽しんでおりますが、できれば、自分で収穫した七草をいただきたいです。早く、草を見極める能力を身につけなければ…とも思います。常に挑戦ですね。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
明日が素敵な1日になりますように。
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