【季節の花図鑑「菊」②大きさで分けた和菊の種類】もっと知りたい大輪菊、中輪菊、小菊それぞれの菊の種類

 9月に咲く花

菊は、園芸上では大きさから「大輪菊」「中輪菊」「小菊」などに分類され、更に大輪菊の(花びらの)形状として、「厚物」「菅物」「大掴み」などに分けられます。




大輪菊

「大輪菊」とは、お花の面(直径)が、10センチ以上ある1輪の大きな菊をいいます。

①厚物 あつもの

菊の花の高さに厚みがあり、半球状に咲く菊のタイプです。

厚物(あつもの) 

花びらが幾重にも重なり、花の厚さ(高さ)があるタイプの大きな菊です。

厚物20231123楽寿園
2023年11月23日

厚走り(あつばしり) 

厚物の菊の外側の花びらが長く垂れ下がっているタイプです。

長く垂れ下がる花びらのことを「走り弁」といいます。

厚走り20231123楽寿園
2023年11月23日

②菅物 くだもの

花びら1つ1つが管のようになっているタイプの菊です。

くるんと丸まった花びらの先の内側に、穴が開いています。

「太管」

花びらが管になっていて、花びらが3~5mmの太いタイプです。

菊花展20231106三嶋大社
2023年11月6日 三嶋大社 

「間管」

花びらが管になっていて、花びらが2~3mmの太さのタイプです。

間管20231117
2023年11月17日

「細管」

花びらが管になっていて、花びらが細く1~2mmの花火のようなタイプです。

細管20231123楽寿園
2023年11月23日

「針菅」

花びらが管になっていて、花びらが1mm以内の極細タイプです。

「長垂」

花びらが管になっていて、外側の花びらが長く垂れ下がっているタイプです。

おおつかみ20231123楽寿園
2023年11月23日
長垂20231123楽寿園
2023年11月23日




③大掴み(おおつかみ) 

花のトップ(頂点)の部分を手でつかんだようなタイプと、入道雲のような形をしている花の厚み(高さ)がある「雲咲き」のタイプがあります。

中輪菊

みねたの菊20221029
2022年10月29日 

中輪菊は、お花の面が5~10センチ程の菊です。

江戸時代中期に、各地の殿様の保護奨励により、地域独特の菊が作られ、各地域の名前がつけられ発展しました。それらの菊の総称を「古典菊」といい、その頃に主流だった菊の大きさが中輪菊になります。

よって、中輪菊の分類が、ほぼ「古典菊」の種類となってしまいます。現在では、これら「古典菊」の大きさにも、大輪菊や小輪菊などもあるようです。

地域を北から順に並べてあります。

奥州菊

現在の青森地方で発達した菊です。

奥州菊は、大輪菊でも紹介した「大掴み」というタイプの小ぶりのタイプです。

江戸菊

江戸で発達した中輪の菊です。

一度平に咲いたのちに、花びらが立ち昇ったり、ねじれたり、折れ曲がったり、乱れ咲く菊です。

「狂い菊」「芸菊」とも呼ばれ、人気となりました。

美濃菊

現在の名古屋市や岐阜地方で発達した菊です。

花びらが太い八重咲きのタイプです。

伊勢菊(松阪菊)

現在の三重県の伊勢地方で発達した菊です。

中輪の菊を伊勢菊といい、大輪の菊を松阪菊といいます。

花びらが垂れ下がるのが特徴です。

嵯峨菊

京都の嵯峨地方で発達した菊です。

一度平に咲いたのちに、花びらが立ち上がり、茶道で使う茶筅のように咲きます。

肥後菊

現在の熊本県で発達した菊です。

肥後菊は、長い間、栽培方法を門外不出とされており、限られた人だけが作ることを許されていませんでした。

丁字菊

丁字菊20231123楽寿園
丁字菊20231123楽寿園
丁字菊20231123楽寿園

丁字菊は、花びらの中心が筒状で、外側が舌状のタイプです。

地域は特になく、産地の湿地に自生します。変わって

奈良時代に中国から薬草として渡来し、江戸時代に栽培された古典菊です。

小輪菊 小菊

小菊は、お花の面が2~3センチ程の菊です。

小菊は、薊菊(あざみきく)、魚子菊(ななこきく)、貝咲き菊などがあります。

富士吉田の菊20231023
2023年10月23日 

薊菊(あざみきく)・薊咲き(あざみさき)

キク科トウヒレン属。多年草。陽当たりの良い山地の草原に自生します。草丈は直立し、約1メートルにもなります。開花時期は9月。花の色は、紅紫色。花径は1センチほどで、アザミのような花の形をした花がスプレー状に咲きます。

魚子菊(ななこきく)・魚子咲き(ななこさき)

貝咲き菊

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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