【季節の花図鑑「やなぎ」①やなぎまとめ】「柳」と「楊」の違い、「柳と名の付く植物」などのやなぎまとめ

 1年を通してどの種類かがさいている花

「やなぎ」と名の付く植物をまとめてみました。

「やなぎ」についてと、ヤナギの種類をあいうえお順に紹介しています。




もっと知りたい「やなぎ」とは

やなぎの種類

ヤナギ科の植物は、世界に約350種あると言われています。

日本にも自生種が30種ほどあると言われていますが、それらのほとんどが枝垂れない「楊(やなぎ)」となります。

やなぎの科属

「やなぎ」とは、ヤナギ科ヤナギ属の樹木の総称をいいます。

「やなぎ」と言った場合には、「枝垂柳(しだれやなぎ)」のことを指します。

ただ意外にも、「やなぎ」と名の付く植物になると、ヤナギ科の植物だけではなく、科属がいろいろありますので、「やなぎ」と名がついてもヤナギ科の植物ではないこともあります。

やなぎの漢字

「やなぎ」は、漢字で書くと「柳」「楊」「栁」と書きます。

これらの漢字の違いは、以下の通りです。

「柳」は、枝垂れるやなぎのことをいい、「枝垂柳」や「雲竜柳」はこの字を使います。

「楊」は、枝垂れない立ち上がるやなぎのことをいい、「赤芽楊」「猫楊」「行李楊」などはこの字を使います。

「栁」は、旧字のようです。

現在では、すべて植物の漢字は「柳」を使っていることが多くなります。

植物の違いがわかるよう、こちらでは、しっかり分けた漢字で表記させていただきます。

やなぎの芽

「赤芽楊(あかめやなぎ)」など「やなぎ」では「芽」という表現をすることが多くありますやなぎの芽とは、花のつぼみになります。芽がやがて花になります。

あかめやなぎ 赤芽楊

◆名前の変化

「赤芽楊」は、芽が赤いことから「赤芽楊」と呼ばれますが、芽の殻が破けて取れると、銀色をしたふさふさの房が現れます。この房が現れると「ぎんめやなぎ 銀芽楊」と名前が変わります。

◆別名 

「マルバヤナギ 丸葉楊」

「ぎんめやなぎ 銀芽楊」

◆科属 

ヤナギ科ヤナギ属。

◆系統

落葉高木樹。

◆名前の由来

「赤芽楊」 芽が赤いことから。

「ぎんめやなぎ」 ふさふさの房が銀色をしているように見えるから。

「マルバヤナギ」 やなぎなのに葉が丸い(楕円形をしている)から。

◆交配

ネコヤナギとバッコヤナギの交配種。

◆樹高 

約10~20メートル。

◆枝 

切り花として販売されているものは、1センチほどの太さをしています。

陽が当たっていた部分は赤くなり、陽が当たっていなかった部分は緑色をしています。(陰陽)

◆芽 

大きな赤い芽が特徴です。同じところからは出ずに交互に出ます。

◆葉

「やなぎ」は細長い葉が多い中、「赤芽楊」の葉は幅が広めで楕円形の葉をしています。

◆開花時期 

2~3月。

◆「赤芽楊」のいけばなでのいけ方

・いけばなでは、「赤芽楊」は芽の殻が取れていない状態の時に使います。

・茎の陰陽をはっきりさせます。陽が当たっていた方は赤いので陽方に、陽の当たっていなかった方は緑色をしていますので陰方に向けていけます。

・赤芽楊は、腰を高くします。

・やなぎはタメが効きます。特に赤芽楊は茎が太いため、形がとりやすくなります。しっかりとタメを効かせましょう。ただし、枝の先はタメずに真っ直ぐに使います。

・芽がぽろっと取れますので、注意していけましょう。

あずきやなぎ 小豆楊

◆別名

「えのころやなぎ 狗尾楊」

◆名前の由来

芽が小豆くらいの大きさになることと、色も小豆の色に似ているからこの名が付いたとされます。

◆交配

小豆楊は、自生種です。

◆枝

赤芽楊よりは枝は細く、分かれ枝が多いです。

◆芽

小豆のような色と大きさをしています。

◆「小豆楊」のいけばなでのいけ方

・「小豆楊」は、芽の殻が取れない状態の時にいけます。

・タメが効きますので、しっかりと形造っていけると良いでしょう。

・強いものには、弱いものを合わせます。

うんりゅうやなぎ 雲竜柳

◆原産

中国原産です。

◆科属

ヤナギ科ヤナギ属。

◆系統

落葉高木樹。

◆交配

ペキンヤナギの園芸品種。

◆枝

クネクネしており、分枝も多い。

◆葉

長さ約5~10センチで細長い。

◆花の色

黄色。

◆エピソード

クリスマスの時期には白塗りや銀塗りされ、お正月には金塗りされて出回ります。

◆「雲竜柳」のいけばなでのいけ方

・「雲竜柳」は、葉や芽が出ていない枝だけの状態の時にいけます。

・「雲竜柳」は線が細いため、「流し」などの技法を使って見せ場をつくってあげると綺麗にいけることができます。

えぞまめやなぎ 蝦夷豆柳

◆原産地

北海道(大雪山)。

◆科属

ヤナギ科ヤナギ属。

◆系統

落葉小低木樹。

◆自生場所

北海道大雪山の高地地帯のみに自生。

◆開花時期

6月下旬~7月上旬。

◆特徴

日本で最も小さな柳。

えのころやなぎ 狗尾楊

→上記「小豆楊」をご覧ください。

かわやなぎ 川楊

◆別名

「ねこやなぎ 猫楊」 

江戸時代まで「かわやなぎ」と呼ばれており、その後に「ねこやなぎ」と呼ばれるようになりました。

「ナガバカワヤナギ 長葉川楊」

「ほりゅう 蒲楊」

◆科属

ヤナギ科ヤナギ属。

◆系統

落葉低木樹。

◆自生場所

河川のほとりに自生します。

◆樹高

約3~6メートル。

◆枝

「川楊」は、赤芽楊よりは細く、行李楊よりは太い、その中間の太さとなります。

◆葉

葉は、細長い楕円形です。

◆「川楊」のいけばなでのいけ方

・「川楊」は、芽の殻が取れない状態の時にいけます。

・「川楊」は、やなぎの仲間の中では、一番基本に忠実にいけるのが良しとされています。それができる枝ぶりとなります。

ぎんめやなぎ 銀芽楊

→上記「赤芽楊」をご覧ください。




くろめやなぎ 黒芽楊

◆別名

「黒柳」

◆科属

ヤナギ科ヤナギ属。

◆系統

落葉低木樹。

◆交配

ネコヤナギの変異種。

◆花の特徴

芽の皮が落ちると、暗い赤色の房からだんだん黒い房になってきます。

こりやなぎ こうりやなぎ 行李楊

◆原産

朝鮮半島。

◆科属

ヤナギ科ヤナギ属。

◆系統

落葉低木樹。

◆自生場所

水辺。

◆樹高

約1~3メートル。

◆芽

行李楊の芽は5ミリほどの小さなものです。

◆枝

「行李楊」の枝は、太いところで1センチほど、細いと5ミリほどになります。

◆行李楊の特徴

昭和の初めまでは、この行李楊で籠を編んだ「楊行李」に、着物などを収納していました。今でいう、衣装ケースです。

◆「行李楊」のいけばなでのいけ方

・「行李楊」は、芽の殻が開かない状態の時にいけます。

・枝は細いですが、思うようにタメることができます。ただ、全体的に細い線なので、あまり丸みをつけず、広げずにスッといけるのが、行李楊らしくなります。

しだれやなぎ 枝垂柳

「やなぎ」と言ったら、「枝垂柳」のことを指します。

「枝垂柳」についてはこちら ↓↓↓

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せっかやなぎ 石化楊

◆別名

「帯化楊(たいかやなぎ)」

「綴化楊(てっかやなぎ)

◆名前の由来

石化とは、植物における奇形。

ねこやなぎ 猫楊

◆別名

「えのころやなぎ」

「かわやなぎ」 江戸時代まで「かわやなぎ」と呼ばれていました。

◆科属 

ヤナギ科ヤナギ属

◆系統 

落葉低木樹。

◆名前の由来

花穂が猫の尾に似ていることとヤナギの仲間であることが名前の由来となります。

◆芽

3月~4月に芽が開き、銀白色の花穂をつけます。

◆季語

初春。

びようやなぎ 未央柳

「ビヨウヤナギ」は、名前に「やなぎ」が付きますが、やなぎの仲間ではありません。

ビヨウヤナギ20230706ハットリ床屋

◆原産 

中国原産。

◆科属 

オトギリソウ科オトギリソウ属

◆系統 

半落葉低木樹。

◆歴史

江戸時代に中国から渡来しました。

◆名前の由来 

枝が垂れ下がり、葉がやなぎのように細長いことから「やなぎ」が付いたとされますが、「やなぎ」の仲間ではありません。

◆花の色

黄色。

◆花の特徴

雄しべが長く、たくさんあります。

◆似ているお花

似ているお花として「金糸梅(きんしばい)」があります。金糸梅は、黄色の花びらでビヨウヤナギと似ていますが、雄しべが短く、茎もビヨウヤナギよりは太く真っ直ぐです。梅の花を大きくしたようなお花になります。

まめやなぎ 豆楊

◆名前の由来

芽がお豆のように小さいからこの名がつきました。

◆芽 

芽の大きさは、5ミリほど。

◆いけばなでのいけ方

・「豆楊」は、芽の殻が取れない状態の時にいけます。

・あまり丸みをつけずに、スッと真っ直ぐにいけます。

マルバヤナギ 丸葉楊

→上記「赤芽楊」をご覧ください。

ゆきやなぎ 雪柳

「雪柳」は、名前に「やなぎ」が付きますが、やなぎの仲間ではありません。

「雪柳」についてはこちら ↓↓↓

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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