【季節の花図鑑「花手水(はなちょうず)」】もっと知りたい!花手水の作り方、注意すべき点、必殺技を紹介

 1年を通してどの種類かがさいている花




手水(ちょうず・てみず)とは

手水20231111三嶋大社
三嶋大社の手水

神社や寺院において、参拝前に手や口を清める水、またはその行為のことです。

三嶋大社の手水20231111
三嶋大社の手水舎

手水を行う建物を「手水舎(ちょうずや・てみずや)」といいます。

花手水(はなちょうず)とは

「手水舎」の「手水鉢」に花を浮かべたものが、「花手水(はなちょうず)」です。

コロナ禍で、感染拡大防止の観点から、「手水舎」の利用を中止せざるを得なくなりました。そこで、「手水舎」で手が洗えない代わりに、目で見て浄めてもらうために、花を浮かばせたり、いけたりして、「花手水」をする神社さんやお寺さんが増えました。

今では、コロナは関係なく、インスタ映えなどにより、花手水をするところが増えています。

花手水の作り方

基本的には、手水場にはってある水場に、花や葉などを浮かばせるものです。花は軽いので、浮きます。水場が水を貯めるタイプでない場合は、サイズに合う器を置いたりします。

他にも、神社さんやお寺さんでは、花を剣山などに活けてあったり、オアシスに挿して飾ったりするところもあります。

神社やお寺だけでなく、自宅でも簡単にできて華やかになりますので、挑戦してみてください。

花手水に使うお花の選択の注意すべき点

基本的には、お花の種類は何を使っても良いでしょう。

見せるための「花手水」などで見栄えがするのは、花の顔が面的な大きなお花(ひまわり、ガーベラ、菊、ダリアなど)が華やかです。

かすみそうなどのような小花が集まっているお花や、縦に長いお花(グラジオラスなど)などは、あまり花手水には向きません。

また、お花は花びら側から水がかかると日持ちがしません。(花の形態にもよります。)花を浮かべた際に水が被らない(沈まない)ようなお花を選びましょう。

竹あかり in 三嶋大社

竹あかり20231104三嶋大社
2023年11月4日 竹あかりに花手水

今回の依頼を受けてお造りした「花手水」は、菊のイベントとの合同企画で、夜、竹あかりが灯る前に飾る花手水です。写真左側に神社があります。開催期間が9日間ありましたので、日持ちさせるための方法なども紹介します。

花手水に使う器

器は鉢に飾ってほしいとの依頼でしたので、器は指定されたものでした。

器の直径は80センチ、深さ25センチ。

お水は、約60リットル入りました。

お花の種類・サイズ・本数

花手水ライトアップ20231104
2023年11月4日 ライトアップしました。

菊のイベントで、菊を多めにの依頼でした。写真のレシピです。

◆ダリア 国鳥 真紅 直径約15センチ 5輪

◆大輪菊 ピンク 直径10センチ以上 10輪

◆大輪菊 赤 直径10センチ 10輪

◆大輪菊 マゼンダピンク 直径10センチ以上 10輪

◆大輪菊 マゼンダピンク 直径12センチ 5輪

◆秋色紫陽花 直径15~20センチ 5輪

◆シンビジウム ピンク 1本(花11輪ほど)

◆バーゼリア 6本

◆シンフォリ マゼンダピンク 5本

花の茎の長さ

浮かべるので意外にも全部切ってしまって大丈夫かと思われるかもしれません。時と場合にもよります。2~3日などの短期間でしたら、それでもよいかもしれません。

今回は、長い期間持たせ浮かばせておく方法として、発砲スチロールを利用したため、茎は10センチくらい残して切りました。その方が安定します。

また、軽いお花は、重いお花と重いお花の間の上にのせるようにするため、茎は長めに切るとよいでしょう。

お花の処理

もちろんですが、お水の中に入る茎には、葉などはついたままにはしません。すべて取り除きます。また、長いガクがあるお花(ダリアなど)は、そこから腐敗が進みますので、それもお花が分解しない程度に切り落としておきます。




お花を入れていく順

花手水20231104

花手水に入れるお花の順番は、どれでも勝手に入れていけばよいというものではありません。

できるだけ、重いお花から入れ、安定して浮かせてから、軽いお花を重いお花の間にいれていくと軽いお花が沈んでしまうことがなくなります。

また、軽くて沈んでしまいそうなお花は、花器の縁に飾り、花器によりかかるようにするのも良いでしょう。

この写真のお花でいくと、まずは、大輪菊、ダリア、バーゼリア、シンビジウム、紫陽花の順です。花器の縁に飾ったシンフォリは、最後に飾りで入れました。

紫陽花は、水も大好きですが、ドライにもなるくらいで乾燥にも強いお花です。1本のままで使うとお花が重くて沈んでしまいますので、小分けにして使います。小分けする際に、なるべく茎は長く切りますが、小分けすると短くなってしまうため、飾った際に水まで届かないことがあるかもしれません。しかし、紫陽花は乾燥にも強いので、意外と綺麗に保てます。

お花を確実に浮かばせる必殺技

今回、10センチ以上の大輪菊を多数使いましたので、それを9日間保たせるのは難しいと判断し、必殺技を使いました。

それは、発砲スチロールです。

浮き輪

発砲スチロールを「浮き輪」にしました。

大きなホームセンターに、円柱の発砲スチロールが販売しています。その直径4センチのものを1センチ幅に切り、真ん中に茎が通るよう、目打ちなどで穴を開けます。

「目打ち」は、こちらからお取り寄せができます。↓↓↓

上記の通り、大輪菊やダリアは、茎の処理をする段階で、茎を10センチほど残し、発砲スチロールを通して浮かべます。直径4センチ幅1センチの発砲スチロールでしたら浮かべても見えません。重い面タイプのお花を浮かばせて、お花を保たせるには最適の方法です。ランや紫陽花などには発砲スチロールが見えてしまうので使えません。

浮かばなくて困った方は、ぜひこの方法を使ってみてください。

明日はどんな手仕事する?

花手水をたくさんの方に見ていただけて、本当に嬉しく思います。声をかけてくださった方、ありがとうございました。

そして、花手水ってどうやって作るの?という方もいらっしゃるかと思い、こちらに記録させていただきました。

花手水をやってみたけれども、お花が沈んでしまったという話もちらほら聞きます。

大きなお花であれば、今回ご紹介した発砲スチロールの必殺技は、浮きますしお花へのリスクも少ないかと思われます。

ぜひ挑戦してみてください。

花入れ替え20231109
2023年11月9日

ダリアがもたなかったので、グリーンの菊を足しました。イメージが少し変わり、明るくなりました。

それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

明日が素敵な1日になりますように。 

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20代30代で海外30か国、国内39都道府県を旅した経験から、「日本人の季節を取り入れた素朴な生き方・暮らし方」が好きになりました。日本の伝統文化のいけばなを30年以上嗜み、地元の食べ物、旬の食べ物、保存食、和菓子、しつらえ、手仕事など、季節や暦を大切に感じながら日々暮らしています。自分でも忘れてはいけないことやレシピなどをここに記録し、自分でも見て確認しながら日々アップデートしています。皆様の参考になれば幸いです。ちなみに、私は料理研究家でも料理人でもありません。お花の先生をしています。自然と共に、日々の変化を自分の手で愉しんでおります。

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